4月29日から昨日まで姫が札幌に来ていた。
久しぶりに会った姫は外見はほとんど変わっていなかったけど、離れる前とは違うにおいがした気がした。
においは不思議だ。
ヒトはみんなそれぞれに独特なにおいを持っている。
そしてそのヒトが生活する部屋もそのヒトと同じにおいがする。
まだお付き合いしていない頃、姫とそして姫の部屋のにおいがとても好きだった。
ほんわかしていて、やさしくて。
姫の部屋に行った後は、ボクの服や髪なんかにもその部屋のにおいがしみこんでいた。
帰ってからもそのにおいをいっぱいに吸い込んだTシャツに顔をうずめたりなんかしては、ひとり幸せな気分にひたっていた。
でもふたりの距離が縮まり、日常的にその部屋を訪れるようになると、いつのまにかそのにおいを感じることはなくなっていた。
ヒトは自分のにおいを感じることができない。
その頃はきっとそれが自分のものか相手のものかすらわからなくなるぐらい、近くにいたのだろう。
今回、久しぶりに会って、懐かしいにおいを感じた時、つくかはなれるか微妙な頃の甘ずっぱい思い出がいっぱい甦ってきた。
でもそれと同時にあらためて距離を実感することになって、少し切なくもあった。
もうそのにおいはすぐそこにあるものではなくなってしまった…