そろそろ読んだ本がたまってきたので、メモ程度に感想を。
書評なんてものはとてもじゃないけどできないので、あくまで感想。

『ランドマーク』 by吉田 修一
『パークライフ』で芥川賞を受賞したり、『東京湾景』が月9の原作になったりと(でもあれはストーリーといい、テーマといい、まったく別の作品だった…)、今かなり旬な作家の作品。

埼玉、大宮を舞台に、巨大ビルの建設にたずさわる現場の作業員と設計者という二つの視点で物語りは進行していく。

この人の作品の登場人物はみんな、理屈とかそういうものを超越して動く。
なんでも理詰めでしか世界をとらえられないボクとしては、みな本当に新鮮な存在。

ある方が、
「理屈ではわからないものを書くのが小説。非論理でもリアリティのあるものを書きたい。」
とおっしゃっていたそうですが、吉田さんの作品の登場人物はみんな、一見して不可解なんだけど、ホントにリアル。

イライラしたくて、わざとイライラするであろう職に就くんだけど、それでもイライラできなくて、自ら貞操帯をつけるなんて、理屈を遥かに超越していて、でもなんとなく気持ちは分かって、うならされるばかり。


『素晴らしい一日』 by平 安寿子
最近お気に入りの作家さん。
田辺聖子さんのユーモア小説にあこがれると本人が言っている通り、かなり似た作風。
読めば元気が出ること間違いなし。
強く生きたい!なんて思っている方にはオススメ。


『Teen Age』 by角田光代 瀬尾まいこ 島本理生 川上弘美 ほか
"teen age"をテーマにいろいろな作家の作品を収録した作品集。
旬な作家の短編がいっぱい。

個人的に青春小説は大好き。

ボク自身が本当になにも考えずに空虚なだけでなく、おもしろみすらないという最悪な高校時代を送ったことに対するコンプレックスから、思いっきりバカやったり、しっかりものごとを考えてる高校生ヒーローが出てくる小説を読むと、単純な子供みたいに、彼らにあこがれてしまう。
『GO』とか『ぼくは勉強ができない』とか『69』とか…
現実にはけっこうな人が青春時代を無駄に過ごしたという思い(コンプレックス)を抱えているだろうから、彼らにあこがれる人は多いんじゃないかと思う。

でもこの『Teen Age』に出てくる話の登場人物はどれもけっこう等身大。
個人的には島本理生さんの「Inside」が好き。
この人のお話に出てくる男の子は、オクテだけどその分誠実な子が多く好感が持てる。
女の子に迫って、拒まれて、口では「いいよ。ごめん、ちゃんとお互いがいいって思えるまで待つよ。」なんていいながらも、失望をかくしきれず、しっかり女の子に見抜かれてるあたりなんかは、かわいくて思わず笑みがこぼれる。


そんな感じ。
今は文庫版ででた『海辺のカフカ』を読み直しているところ。