読書メモ

 

『十八の夏』 by光原百合

 

双葉文庫の新人フェアみたいなので紹介されていたので、興味を持って読んでみる。

 

泣いた。

短編集だが、2編目の「ささやかな奇跡」は途中から涙が止まらなくなった。

 

妻をなくし、息子とふたりでやもめ暮らしをする、全国チェーンの本屋に勤める男と、以前に結婚を約束した相手を事故でなくし、その上その人とのあいだにできた子供を死産することになってしまった、町の本屋を営む女性が不器用ながらも次第に心通わしていく、というストーリー。

思い出と、新しい現実の恋の間にゆれる二人の姿がなんとも切ない!

 

男にとって妻の死は最初、異物を無理やり飲み込まされたような感じで、怒りや息苦しさしか運んでこなかったけど、やがてその異物も体内で次第に消化され、澄んだ水のような哀しみしか運んでこなくなり、体の一部となっていった、という。

なんていい思い出の消化のしかたなんだろう!

そしてお互いに、そんな相手の過去を尊重し、大切にしつつ、お互いを一番大切と思える…

くぅーっ、なんていい関係なんだ!

 

 

現実世界では、新しい恋がスタートする時、相手に以前の恋人との思い出をすべて破棄することを求めてしまう人は多い。

でもそれは、自分に自身が持てていなかったり、相手のことが信頼しきれてないことのうらがえしだと思う。

 

偉そうに書いてるけど、ボクも昔は姫が以前お付き合いしていた人の影に散々打ちのめされたりした。

自分勝手にその人と自分を比較しては苦しんだり、卑屈になったり、時には相手を責めたりもした。

 

本音を言えば、そりゃ誰だって自分だけを愛して欲しいし、自分だけを見てほしい。

でもこの世の中、そんなことってありえないと思う。

どんなに大切な人がいようとも、にんげん時には他の人にちょっとした好意を持ったりしてしまう。(ボクだけ!?)

思い出にすがりたくなる時だってあるかもしれない。(これはボクにはあまりない)

 

でも実際に今はお互いにとって、お互いが一番大切なんだと思える自信と信頼。

そういうものがあれば、過去だろうがなんだろうが受け入れていけると思う。

そりゃちょっぴり嫉妬はしちゃうけど…

でもそんな嫉妬とかも、人生のスパイスがわりとして、自分を磨くきっかけになれば、それもそれでまた素敵。

 

 

うーん、なんか本の本筋とずれてくさいことを語ってしまった…

現実がそんなに上手くいくわけはないけど、そうなれたら素敵だなー、とは思う。

ボクは救いようのないドリーマーだ。